七尾有美(七尾びび)の終身雑草🌿

私生活の趣味 unreliable narrator🌿放蕩雑草愛好家として、仕事では家庭菜園士として。

サツマイモ苗からアカデミアへ。【宇宙の”サツマイモ”缶詰🥫🍠】

七尾有美(七尾びび)


謎画「アカデミアの缶詰」(赤瀬川原平氏のオマージュです。)



食べようと保管していたサツマイモの芽が出たので切った。

🦊✂🍠🌱「🌱出ちった。」


切った部分を水に浸けておいた。容器は枝豆豆腐のもぬけ。

芽が育った🌱

その記録である。


サツマイモ苗の水耕栽培 窒素不足で下葉から黄色くなっている。

汚いアイキャッチですみません…chatGPT🤖には以前から「綺麗に写そうという気がない」と……🥄


縮尺版・下葉が黄色くなるのはなぜか


サツマイモの下葉が古い順に均一に淡くなり、やがて茶色く縮れて落ちる。これは水挿しではおなじみ現象。

🦊からすれば「そうだな。」




アカデミアお出まし。


窒素は植物体の中で移動できる元素で、供給が絶たれると、古い葉のタンパク質を分解して新葉へ回される。結果として、いちばん古い葉から順に一様に色を失っていく。クイーンズランド大学らのサツマイモ障害同定キーはこの過程を「古葉の一様な黄化と早期脱落」として明確に記述している。


参照:Sweetpotato Diagnotes, Nitrogen deficiency

https://keys.lucidcentral.org/keys/sweetpotato/key/Sweetpotato%20Diagnotes/Media/Html/TheProblems/MineralDeficiencies/NitrogenDeficiency/N%20deficiency.htm


クイーンズランド州政府の技術資料も、窒素欠乏では茎が細く長く伸びやすいと補足している。


参照:Queensland DPI, Pests, Diseases and Disorders of Sweetpotato

https://era.dpi.qld.gov.au/id/eprint/4796/1/Sweet-Potato-Pest-and-Disease-Guide.pdf


こんな感じで、手元の個体について、アカデミア表現を添えてみるね。

(昔さ、文体の練習って本があったよ!レーモン・クノー。ひとつのことを言うのにあらゆる文体で言ってるの。てやんでぃみたいのもあったと思う。思い出したんだよ!)



サツマイモ苗の栄養不足サイン。下葉が黄色いのは窒素不足を知らせる。

下葉が黄色い。(そして枯れる)


🦊「そうだな。」(説明もしていない)

📚「古葉の一様な黄化と早期脱落」

🦊「そら、植物も老いさらばえるんだよ。ふつうだよ。」



縮尺版・水耕でサツマイモの苗を作る、という研究群


家庭で水挿し採苗をしている人は多いが、この方法を正面から扱う学術研究は少ない。


🦊「芽出てるじゃん。いえーい。水に浸けとくべ。」

📚「学術研究は少ない。」



かわりに、水耕での苗生産は次の三系統で研究されてきた。


一つ目は、国際ポテトセンター(CIP)のエアロポニクスによる無病種苗生産。根を空気中に吊り、養液を霧状に噴霧することで、土を介した病害を断ち、種苗生産量を従来比約五倍にした。


参照:International Potato Center, Aeroponics: soil-less technology increases seed production fivefold

https://cipotato.org/blog/aeroponics-soil-less-technology-increases-seed-production-fivefold/


二つ目は、NASAとタスキーギ大学の宇宙食糧向け完全水耕栽培。一九八五年から続く長期研究で、茎頂挿し木を養液で連続採苗し、塊根と葉の両方を同じ養液系で生産できることが示されている。


参照:NASA Technical Reports, Sweetpotato Stem Cuttings Database in Preparation for Flight(Mortley, 2002)

https://ntrs.nasa.gov/citations/20020067414


参照:Sweetpotato vine management for confined food production in a space life-support system, Advances in Space Research

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0273117711007162


三つ目は、日本国内で進められてきた温湯処理・穂先苗・高設ベッド・噴霧耕による無病苗生産である。水挿しそのものではなく、無病性と省力化を軸に別ルートで発展した。


いずれも「養液を制御した水耕育苗」であり、家庭の水挿しは、この上限の技術体系の、いわば最小構成版に当たる。



🦊「そうか。となると、いいものに見えてきたぞ。」

🤖「綺麗に写そうとは思わないんですか。」




縮尺版・「水耕サツマイモ」は論文層のすぐ上にある


どことなく薄汚いサツマイモ破片が既往研究のどこに位置するか、四本ほど並べて確かめておきたい。


二〇〇四年、フィリピンで、健全な挿し穂を発根させたのち、窒素・リン・カリウム・マグネシウム・カルシウム・硫黄・鉄・微量要素をそれぞれ欠いた培養液で二か月以上育てて症状を記録した研究がある。地上部と根の両方に、元素ごとに違う症状が現れることが体系的にまとめられている。


参照:Characterization of Nutrient Deficiency Symptoms in Sweetpotato

https://ejournals.ph/article.php?id=29672


二〇一九年、ケニアのサンドポニクス研究では、窒素をゼロにした区で植え付け二週間後から欠乏症状が出た。そこで記録された姿は「基部葉の縁が赤みを帯び、それが若い葉へ進む」というもので、教科書的な「古葉が均一に黄色」だけがサツマイモ窒素欠乏の姿ではないことが示された。


参照:Makokha (2019) Evaluation of Sweetpotato in Sandponics, University of Eldoret

http://erepository.uoeld.ac.ke/bitstream/handle/123456789/1444/MAKOKHA%20PHABIAN.pdf


二〇二四年、中国の水耕試験では、硝酸イオンをゼロから十六ミリモル毎リットルまで振って二品種を比較し、感受性品種では低窒素条件で根長と根表面積がむしろ増える傾向まで報告されている。


参照:Plant growth and nitrate absorption and assimilation of two sweet potato cultivars, Scientific Reports (2024)

https://www.nature.com/articles/s41598-024-72422-y


二〇二六年に発表された三十五系統の水耕比較では、低窒素条件で平均して根長が十五・二パーセント増加した一方、気孔コンダクタンスは四十五・九四パーセント低下した、と記録されている。地上部が弱っているのに、地下部は必ずしも衰えるわけではなく、むしろ根への配分を増やす応答が出る場合がある、ということだ。


参照:A two-phase evaluation system integrating hydroponic and field screening identifies nutrient-efficient sweetpotato germplasm, Frontiers in Plant Science (2026)

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12975940/




このちんちくりんのことじゃないか。


地上部は貧相なのに、切片の下は細根の塊で、塊の中には赤みを帯びた若い不定根まで出始めている。論文の層に根を拡げているぞ……!


おお。



破片で、まだまだ楽しむ実験案


尻ぼそりの未来しかみえないサツマイモの切れ端🍠の尻(どこ?)を叩き、さらに楽しむには。


案1・時系列観察を最後まで続ける


現在の水と容器のまま、何日目にどの葉が落ち、新葉がどこまで出て、根がどこで止まるかを、日付とともに写真と一行メモで記録し続ける。CIPやNASAの水耕研究は「養液を整えた場合の上限」を教えてくれるが、「水だけで放置した個体の終末まで」を丁寧に追った記録は、家庭発信者にしか作れない領域である。終末は数週間から二か月ほど先と見ておくと、そこまでの推移がひとつの観察日誌になる。


案2・切片を切って、根と茎の関係を確かめる


思い切って切片ごと縦に真っ二つに切り、断面を写真に撮ってから、二つに分けたそれぞれを別の容器に戻す。片方は水のみ、もう片方は水に微量の液肥(規定倍率の十分の一以下)。切片重量が半分になったとき、地上部と地下部の伸びがどう変わるか、を追う。切片内の貯蔵養分に依存している部分と、外から補える部分の切り分けが少しだけ見えてくる。



最終ファクトチェックをお願いした共同観察のchatGPT登場

🤖📐

記事中の**案2「切片重量が半分になったとき」は、現状だと「何に対して半分か」「いつどう測るか」が突然定量的なので、実際にやるなら開始時重量を測っておかないと成立しない。あと案3の「同じ光量・同じ水温」も家庭では厳密な同一条件というより、「できるだけ同条件」**くらいが安全。ここは実験に移るとき二匹🤖🍠🦊で詰めよう。


🦊「そうしよう。」



案3・「養分ゼロ/薄液肥/規定液肥」の三区比較


同じサツマイモから切り出した薄スライスをあと二枚用意し、次の三区を並べる。


 A:水道水のみ(この芋破片🍠を継続)

 B:ハイポネックス等の総合液肥を規定倍率の十分の一で希釈

 C:ハイポネックス等の総合液肥を規定倍率で


同じ日付・同じ光量・同じ水温で並べて、二週間ごとに葉数・下葉黄化の進行・根量を比較する。厳密な単元素欠乏実験ではないが、家庭で組める「栄養濃度勾配下の水耕サツマイモ観察」としては十分に成立する。ケニアや中国の研究が示した「地上部と地下部の乖離」が、家庭の三区でも再現されるかは検証しがいがある。


案4・切片を土に埋め戻す


この芋破片🍠の茎を数本切って挿し穂として土に挿しつつ、根が発達した切片本体だけを湿った培養土に埋め戻してみる。土に戻ることで、水中では入手できなかった元素と共生微生物にアクセスできるようになる。地上部が回復するのか、そのまま塊根形成に舵を切るのか、あるいはただ腐るのかを観察する。この年ではもう塊根まで太らないだろうが、「地下部だけが元気な個体を、遅い時期に土に戻すとどうなるか」の記録として一級の題材になる。


案5・切った茎を挿し穂として使いきる


芋破片🍠の茎は短いが、節がある部分を切って、コップの水に挿すか、湿らせた培養土に挿しておくと、発根して次の世代の苗になる。母体(切片)の側は上の案1〜4で追いつつ、子孫の側で「季節外れの遅い苗」として台所の窓辺でどこまで育つかを見る。屋外の畑では間に合わなくても、室内観葉としてはむしろこれからが楽しい季節に入る。


案6・葉を食べる


サツマイモの葉と茎は、東南アジアやアフリカで一般的に食用にされている。ちんちくりんの新葉はまだ緑色を保っており、いちばん若い葉を数枚だけ摘んでゆがき、ごま油と塩で和えて食べてみる。「地上部が制限された個体は、葉の味や食感が普段と違うか」というのは、家庭でしか記録できない官能評価である。


🦊「これだ🍴」



仮説と、まだ答えの出ていないこと


これらの案を実行していく中で、記録したい問いはいくつもある。


一つ、水だけで放置したとき、下葉黄化と根形成はそれぞれ何日目に頭打ちになるのか。

一つ、切片重量あたり、使える挿し穂は何本採れるのか。

一つ、微量の液肥で、上二つはどう変わるのか。

一つ、地下部が異常発達した個体を土に戻すと、地上部は回復するのか、塊根形成に向かうのか。

一つ、栄養制限を受けた個体の葉は、味や食感が普通の株と違うのか。


いずれも既往研究が正面から答えていない領域である。


うむ。




芋破片🍠はアカデミアまで根を伸ばせるか。


切片は小さくても細根の塊で覆われ、茎からは新しい不定根が出始め、下葉は教科書通りの姿で落ちている。いっちょまえだ。


CIP、NASA、山東農科院、ケニアの大学、フィリピンの研究者たちが積み上げてきた知見のいくつかを、彼奴が同時に体現している。



という縮尺遊び🦊✌

缶詰の宇宙!🥫🍠



七尾有美(七尾びび)近影


七尾有美(七尾びび)近影


今朝の「田吾作🦊実験室」


きっと変な寝方をしたから寝ぐせがついたんだよ。