【雑草記録・続報】ウスバスナゴショウ(Peperomia pellucida)株の消失という攪乱を挟んで別種の芽生え|種名は保留|2026年9月・埼玉県吉川市
おはよう☺️🌿
はじめに、この記事でいちばん強調しておきたいことを先に書きます。
今回、ウスバスナゴショウが生育していた地点から、株が消失していました。(ほかにあった別の雑草も同じく消失のため、何かしらの攪乱。)そして同じ隙間の土から、別種と思われる芽生えが出ていました。
その芽生えについては、種名を確定していません。
写真から受けた印象と生育環境から、外来種のアメリカオニアザミ Cirsium vulgare (Savi) Ten. ではないかという仮説を頭に置いてはいますが、この一枚の写真だけで「アメリカオニアザミである」と書き切れる根拠は、現時点ではありません。
したがって本記事では、
・「アメリカオニアザミの芽生えを確認した」
・「アメリカオニアザミが出た」
といった断定的な書き方は避け、
「消失後の種名を保留した芽生え」
として扱います。
同定を急がずに、まず現地で起きたことを事実として残しておくのが、この続報の役割です。


今回の観察
2026年8月に「複数の芽生えを確認した」と記録した、埼玉県吉川市のウスバスナゴショウ Peperomia pellucida (L.) Kunth の生育地点を、2026年9月11日に再訪しました。
前回と同じ地点、道路沿いの建物際、石材やコンクリートの隙間に堆積したわずかな土。
そこにいたウスバスナゴショウは、株ごと消失し、肉眼レベルでは跡形もありません。
そして、株がなくなった同じ隙間から、別種と思われる芽生えが出ていました。



観察できた事実

・前回(2026年8月7日)にウスバスナゴショウの芽生えを複数確認した地点で、攪乱。跡形もない。
・同じ隙間の土から、円形〜やや腎形の葉を持つ、別の芽生えが出ている。
・葉は対に近い付き方で数枚展開し、縁と葉面に細かい毛がある。
・葉の色は明るい黄緑〜緑で、光沢は弱い。
・付近には、前回の観察時にはなかった、枯れたつる状のものや動物の遺骸(巻貝の殻)なども見られた。
撮影日:2026年9月11日



同定を保留する理由

攪乱後の芽生えの種名を、写真だけで決めないことにした理由を、いくつかに分けて書いておきます。
(1)形態が、アメリカオニアザミの典型例と完全には一致しない
アメリカオニアザミの芽生えは、各種資料では次のように記述されます。
・子葉は卵形〜へら形、無毛ないし毛が少なく、刺はない。
・初生葉から縁に細かい刺状の毛(prickle)が現れ、葉面には剛毛が生える。
・その後、羽状に深裂した根生葉のロゼットへ発達する。
(アメリカオニアザミ – Wikipedia/国立環境研究所 侵入生物DB/Ohio Weedguide/Michigan State University Extension など)
今回の芽生えは、丸い葉に細かい毛はあるものの、写真から縁の突起が「刺状の毛」なのか「柔らかい毛」なのかを読み取り切れません。葉形も、上記典型例のへら形とは印象が異なります。
(2)現地で刺やロゼットの中心を触って確認していない
本ブログでは、抜かない・切らない・移動しないを原則にしており、種の断定を急ぐために葉先の刺の硬さを確かめる、株を持ち帰る、といった扱いはしていません。
これは方針として引き受けているもので、その結果として写真からわかる範囲以上には踏み込まない、という制約が生まれます。
(3)専門家による確認を経ていない
前回のウスバスナゴショウは、写真を浅井元朗先生にも確認していただいたうえで種名を記載しました。
今回の攪乱後の芽生えについては、その工程を経ていません。前回と同じ手続きを踏んでいない以上、前回と同じ強さで種名を書くことはできません。
(4)同じ環境から出うる別種が複数ある
攪乱後の湿った隙間の土からは、たとえば
・攪乱後の周囲に残っていた種子から発芽した、ウスバスナゴショウ自身の実生
・その他のナデシコ科(かなり迷った)キク科、アブラナ科、シソ科などの、丸い子葉・初生葉を持つ雑草の芽生え
なども、形態のみからは排除できません。
(親株が失われているため、株からの再生の可能性は低くなります。)














以上の理由から、本記事では
「アメリカオニアザミ(Cirsium vulgare)の可能性を頭に置きつつ、種名を保留した芽生え」
という位置づけで扱います。
仮に想定している候補について(あくまで参考)
情報として、頭の中で候補に置いているものだけを、参考までに書いておきます。断定ではありません。
・アメリカオニアザミ Cirsium vulgare (Savi) Ten.(キク科アザミ属)
ヨーロッパ〜西アジア原産の帰化植物。道端、荒地、アスファルトやコンクリートの割れ目にも定着することが知られる。国立環境研究所の侵入生物DBなどで要注意外来種として扱われている。
仮にこの芽生えがアメリカオニアザミであれば、今後は葉が羽状に切れ込み、縁と葉面に明瞭な刺が現れ、地面に張り付いた大きなロゼットに発達していくかなと思われます。
・ウスバスナゴショウ Peperomia pellucida (L.) Kunth 自身の実生
親株は肉眼確認できるレベルでは根ごと失われているようにみえる。
地下部からの再生は考えにくい一方、周囲に落ちていた種子からの実生であれば説明はつきます。
この場合は、今後、葉が丸〜心形のまま、透明感のある柔らかい茎を伸ばしていくはずです。(わたしの肉眼確認では可能性は限りなく低いと感じています。)
今後の展開でしか判断できません。
「株の消失という攪乱を挟んでその後、別の株が入り込むかという論点」
今回の観察で残しておきたかったのは、種そのものよりも、
「同じ小さな隙間の土から、株が消失。そこに別の芽生えが現れていた」
という事実です。
・8月7日:ウスバスナゴショウ(南方系の帰化雑草)の芽生えが複数
・9月11日:株は(おそらく)根ごと消失、肉眼確認では跡形もなし。代わりに種名を保留した別種と思われる芽生え
単なる季節変化だけでは説明できない可能性があり、少なくとも株の消失という攪乱を挟んだ地点で起きています。
同じ「石材とコンクリートの隙間の、堆積したわずかな土」という条件でも、
・親株がそのまま残っているか
・地上部だけ刈られたか
・今回のように、根ごと消失
・その時期の気温や降雨
・種子が上から降ってきたか、土に埋もれていたか
などによって、そこに定着する芽生えは大きく変わり得ます。
種名を保留したままでも、
「株の消失という攪乱を挟んで、同一地点の植生が入れ替わった」
という事実だけは、時期と写真を紐づけて残すことができます。
種名の確定より先に、この入れ替わりそのものを記録しておくのが、この続報の主眼です。

観察倫理についての補足

現地では、抜かない・切らない・移動しないを原則として、写真撮影と目視の確認のみを行いました。

今後の観察予定
同じ地点を、以下の観点で継続して観察する予定です。
・消失後の芽生えが、羽状に切れ込む葉と明瞭な刺のあるロゼットへ発達するか(→ アメリカオニアザミの方向)
・丸〜心形の柔らかい葉のまま、透明感のある茎を横に伸ばすか(→ ウスバスナゴショウの実生の方向)可能性は低い。
・どちらとも異なる形態で展開するか(→ 別種として、あらためて調べ直す)
・再度の攪乱が行われた場合、その後にまた別の芽生えが入ってくるか
同定が可能になった段階で、本記事に追記または訂正を加える予定です。

参考情報(外部リンク)
・アメリカオニアザミ – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%82%B6%E3%83%9F
・アメリカオニアザミ/国立環境研究所 侵入生物DB
https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/80470.html
・アメリカオニアザミ/農研機構 畜産研究部門 雑草リスト
https://www.naro.go.jp/laboratory/nilgs/weedlist/w0100/w0110/066451.html
・Bull thistle – Cirsium vulgare/Michigan State University Extension
https://www.canr.msu.edu/resources/bull-thistle-cirsium-vulgare
・Bull Thistle (Cirsium vulgare)/Ohio Weedguide
https://weedguide.cfaes.osu.edu/singlerecord.asp?id=99
ウスバスナゴショウ 前回記事
【雑草記録】2026年 7/5 埼玉 ウスバスナゴショウPeperomia pellucida (L.) Kunthの芽生え撮影
【雑草記録】ウスバスナゴショウ(Peperomia pellucida)の芽生えの特徴|2026年8月・埼玉県吉川市での観察記録
撮影:2026年9月11日
記録:七尾有美(七尾びび)

