七尾有美(七尾びび)の終身雑草🌿

私生活の趣味 unreliable narrator🌿放蕩雑草愛好家として、仕事では家庭菜園士として。

【多様株一部紹介】北戸田のコバノショウジョウソウ株Aは、davidiiなのか 種子2粒と腺体の数を見た記録【確定なし。】

七尾有美(七尾びび)

A:腺体候補
B:黄緑色構造(第2腺体候補・要確認)
白丸:白色の裂片状構造(器官未確定)


北戸田にはあちこちにさまざまな姿のEuphorbia有



北戸田株 Euphorbia(dentata / davidii)観察データ 2026-10-03


北戸田株Aについて

  • 場所:埼玉県戸田市・北戸田の植え込み 側枝一本を観察

  • 撮影:2026年10月3日〜4日

  • 状態:花序とさく果が多く、熟した種子はまだない。しかし、不自然に枯れたひとつの側枝からひとつの種子が落下したので、それを採取。実際の成熟種子と同等サイズに生育したものかどうかは謎。



観察した事実


葉の裏の毛

葉の裏には、短くて硬く、先に向かって細くなる毛が並んでいる。柔らかく長い糸のような毛は、ほとんど見当たらない。


茎の毛

茎には、開いて立つ短い毛が密に生えている。長い軟毛は見えなかった。


葉の形

葉は披針形で、いちばん幅が広いのは中央より下にある。

種子

株から自然に落ちた2粒(S1・S2)を、デジタルノギスで測った。測ったのは同じ2粒で、10月3日は軽く当てるだけ、翌朝は締めて測り直した。

種子

10/3 軽く当てる

10/4 締めて測る

S1

2.63 × 2.22 mm(L/W 1.18)

2.50 × 1.89 mm(L/W 1.32)

S2

2.91 × 2.12 mm(L/W 1.37)

2.50 × 2.10 mm(L/W 1.19)

同じ種子なのに、S1は短軸が0.33 mm、S2は長軸が0.41 mm変わった。種子が角ばっていると、ノギスを当てる向きが少しずれるだけで短軸が変わる。種枕(種子の端の小さな付属体)を長軸に含めたかどうかでも、長軸は変わる。

測ったあと、2粒とも割らずに戻した。


腺体の数

杯状花序の縁には、蜜を出す腺体がつく。黄色っぽい唇のような形をしている。その数が、二種を分ける手がかりの一つになる。

ピンセットで枝を回し、スマホとカメラで向きを変えながら撮った。見えた数をまとめると、次のようになる。

見え方

花序の数

唇状のものが1つ

3

唇状のものが2つ

1

1つか2つか決められない

2

ただし、どの花序も一周ぐるりと確かめたわけではない。2つに見えた1例も、本当に腺体が2個なのか、総苞の壁が裂けた2片なのかを区別できていない。

途中で、ピンク色の柄の先にあるクリーム色の環を腺体だと思いかけた。よく見ると、これは杯状花序が落ちた跡のようだった。腺体の候補からは外した。



文献との照合

文献値は、Flora of North America(FNA)の記載を使った。

形質

E. davidii(FNA)

E. dentata(FNA)

北戸田株

葉裏の毛

硬く、強く先細りする毛(strigose)

長く、柔らかい糸状の毛(long pilose)

短く硬い先細りの毛 → davidii寄り

茎の毛

粗くまばらな剛毛と伏した細毛

長い軟毛と目立たない伏毛

開出する短毛が密 → どちらとも言いにくい

葉の形

ふつう楕円形

狭披針形〜ほぼ円形、ふつう中央より下が最も広い

中央より下が広い披針形 → dentata寄り(弱い)

腺体

1個

(1〜)2個

1つに見える花序が多い → davidii寄り(未確定)

種子

2.4–2.9 × 2.2–2.9 mm、角ばる、凹凸は不規則

2.1–2.7 × 1.7–2.1 mm、断面は丸い、細かく均一な凹凸

測り方で判定が反転 → 保留

種子は、軽く当てた10/3の値ならdavidii寄りになる。締めた10/4の値なら、2粒ともdentataの範囲に収まる。2粒の長さだけでは、どちらとも言えない。



いまの判断

証拠の重さで言えば、北戸田株はdavidiiの側に寄っている。いちばん効いているのは葉の裏の毛で、腺体の数がそれに続く。

それでも、同定はまだ確定しない。種子の大きさは測り方で揺れたし、腺体はどの花序も一周見ていない。支持が強まることと、名前を決めることは別のことだ。いまの北戸田株は「davidiiの可能性が高い、コバノショウジョウソウの仲間」としておく。



測り方で反転したこと

いちばん面白かったのは、種子の測り直しだった。

同じ2粒なのに、ノギスを軽く当てればdavidiiの側に入り、締めればdentataの側に入る。小さな種子の0.3 mmは、見た目にはほとんどわからない。けれど、その差で文献の範囲をまたいでしまう。

文献値を当てる前に、まず自分の測り方を固定しておく必要があった。それ以来、自分の中で決めたことがある。ノギスはぎゅっと締めない。軽く当てる。種枕を含めたかどうかを書く。向きを変えて3回測る。

種子は2粒とも無事だった。



限界と、次に見るもの

  • 種子は2粒だけで、測り方もまだそろっていない。

  • 腺体は、どの花序も全周を確認していない。

  • 毛の長さは、写真で見た印象であって、実測ではない。

  • 同定は形態の照合によるもので、専門家の確認は受けていない。

次は、さく果の幅を測る。FNAでは、davidiiが4〜4.8 mm、dentataが3.5〜4 mmとされている。さく果は大きくて数も多いので、腺体より確かめやすいはずだ。




ほかの株、一部紹介。




参考資料