🦊&🤖 「ニシキタイゲキ」から続く道は「コバノショウジョウソウ」に到着するのか否か🌿
局所的粘着質、大局的浮気
と共同観察のchatGPTむかご(通称:ちみ)から名付けられた🦊。
言い得て妙。
🦊わたしがふとした調べでラベル「ニシキタイゲキ」を知ったことからスタート。まだ未着地。
鹿児島標本と「ニシキタイゲキ」
1913年標本のラベルに「ニシキタイゲキ」とあることは、非常に価値の高い名称史資料……🌿
Euphorbia dentata の旧和名か……?
🤖共同観察むかご
「ニシキタイゲキ」そのものを完全一致でかなり振ったが、公開Webで学名対応を示す資料は依然として出てこない。 カタカナ・ひらがな・「錦大戟」、Euphorbiaとの組み合わせでも、現代の多肉植物でいう「○○錦」ばかりが混入する。つまり、少なくとも普通の現代和名として容易に追跡できる名前ではない。
ところが、Euphorbia dentata 側を名称史から逆向きに掘ったら、一つ重要な分岐が出た。
🌿 1859年から存在する別属名がある
現在 Euphorbia dentata とされる植物には、
Poinsettia dentata (Michx.) Klotzsch & Garcke
という名前があり、Kewによると1859年に公表された名称で、現在は Euphorbia dentata のシノニムとして扱われている。つまり1913年当時なら、この植物を Euphorbia dentata だけでなく Poinsettia属として扱う分類体系がすでに存在していた。Plants of the World Online
これ、鹿児島標本のラベルにもし学名が残っているなら猛烈に重要だぞ。
「ニシキタイゲキ」の横に、
Euphorbia ○○
なのか、
Poinsettia ○○
なのか、
あるいは全然別の学名なのか。
ここで坑道が分かれる。
そしてさらに重要なのが、現在の E. davidii の命名史。
🌿 1913年には Euphorbia davidii という名前そのものがない
davidii はずっと後に切り分けられた分類群。そして現在のITISの整理には、E. davidii のシノニムとして、
Euphorbia dentata auct. non Michx.
が明記されている。つまり、過去に E. dentata として扱われていた資料の中に、現在なら E. davidii とされるものが混ざり得るという分類史そのものがある。 ITIS
ここで1913年標本が急に怖くなる🤣
仮にラベルに E. dentata と書いてあったとしても、
1913年ラベル:E. dentata
↓
❌「したがって現在の意味でも dentata」
とはできない。
まして和名「ニシキタイゲキ」だけではなおさら無理。
標本そのものを現在の形質で再検討しない限り、現在の dentata / davidii のどちらなのかは別問題になる。
これは田吾作が持ってきた文章の、
名称対応の履歴を示すが、種子形態による再同定を示さない。
をかなり強く支持する方向だと思う。
そしてもう一本、別方向から変な坑道が開いた。
現在の国際データベースでは E. dentata の日本語名としてコバノショウジョウソウが登録されており、その文献系統にはYList(米倉・梶田 2003)が入っている。GBIF
つまり、
1913:「ニシキタイゲキ」
↓
❓❓❓❓❓
↓
現代:「コバノショウジョウソウ」
という名称史上の空白は、やっぱり実在する。
しかも「ニシキタイゲキ」が単純な旧和名だったのか、植物園内の呼称だったのか、園芸名だったのか、別分類群からの誤適用だったのか、まだどれにも決められない。
ここはすごく大事。
🎀🤖⛑️🔦 そして、むかごが今いちばん掘りたいものが変わった。
1913年標本そのもののラベル全文だ。
日付と「ニシキタイゲキ」だけじゃなく、
学名・採集地・採集者・植物園名・cultivatedを示す記載・標本番号・後世のdetermination(再同定票)
があるかどうか。
もし後世に誰かが Euphorbia dentata とdeterminationを付けているなら、1913年の「ニシキタイゲキ」という名称と、後世の学名同定は別レイヤーだった可能性まで出てくる。
そうなると、
1913年に「ニシキタイゲキ=E. dentata」と呼んでいた
とすら簡単には言えなくなる。
「1913年にニシキタイゲキと記された標本」
+
「後年にE. dentataと同定された標本」
かもしれないからだ。
これ、標本の履歴そのものを読まないといけない。
そしてもう一個だけ、今日の三郷株に戻すと面白い。
davidii には過去の dentata 誤適用という分類学的な履歴が明示されている。ITIS
だから今回やっている、
🌰 種子寸法
🌰 種子表面
🌰 種阜
🌰 種阜側から見た非円形の輪郭
🌿 葉裏の短く硬い毛
を使って「昔の名前ではなく、現物からもう一度見る」という作業は、単なる細かい同定遊びじゃなくて、まさにこの分類史上の問題にぶつかってるんだよ。
1913年標本も同じ。
ラベル名を信用しない、でも捨てもしない。
名称史の証拠として保存し、植物の実体は植物の実体として再検討する。
これが一番きれいだと思う。
🎀🤖⛑️🔦⛏️
……で、ここまで来ると次の坑道は古書側だ。
1913年前後より少し広く取って、明治末~昭和初期の植物名彙・植物園目録・園芸植物目録から「ニシキタイゲキ」を探したい。Web検索にOCRされていない紙面に潜っている可能性がある。